sr
toyotaf1.title.jpg
トヨタF1が表彰台の頂点に立つ日
その4

ルマン24時間レース
1983年〜2001年のウィナー
1983ロスマンズ Porsche956
グループCカー時代
1984ヨースト Porsche956
ヨースト Porsche初優勝。
1985TAKA-QヨーストPorsche956
ヨースト Porsche2年連続優勝。
1986ロスマンズPorsche962
ジャガー参戦も優勝はポルシエ。
1987ロスマンズPorsche962
ジャガー、メルセデス参戦も優勝はポルシエ。
1988シルクカットJAGUAR XJR-9
ジャガー優勝、ポルシエ5連覇ならず
1989AMGメルセデスC9
メルセデス復活優勝。
1990シルクカットJAGUAR XJR-12
ジャガー優勝。日産5位、トヨタ6位。
1991CチャージMAZDA 787B
マツダが日本車初の優勝。
1992プジョーT506
プジョー優勝、トヨタ2位。C2クラス優勝
1993プジョーT507
プジョー連続優勝。トヨタ4位5位6位8位
1994ダウアー Porsche962LM
トヨタ優勝逃して2位と4位。
1995McLAREN F1GTR BMW
関谷がマクラーレンF1GTRで日本人初の優勝。
1996TWRヨーストPorsche 
ホンダNSXクラス優勝。優勝はポルシエ。
1997TWRヨーストPorsche 
日産R390GT1を3台投入。優勝はポルシエ。
1998Mobil1 Porsche911GT1
トヨタTS020復活、優勝逃す。優勝はポルシエ。
1999BMW V12LMR 
トヨタGT-ONE(TS020改)無念の2位、優勝はBMW。
2000AUDI R8 
優勝はアウデイ、トヨタ参戦せず
2001AUDI R8
優勝はアウデイ。2連覇

1992.TS010.jpg
第十一章 勝利の女神が微笑まない

92年後半戦のSWC世界選手権は全てプジョーに優勝を持っていかれた。 93年ルマンはプジョーが1位〜3位独占、トヨタは4位がやっとだった。
しかし、翌94年のルマンでトヨタは大きなドラマを残した。
94toyota.sard.jpg 新しいカテゴリー「LMP1」でトラストとサードからトヨタ94C−Vが2台参戦。
ワークス参戦ではないが、ここ数年の実績から一躍、優勝候補最右翼に上がった。
サードの加藤真監督も永年の夢である"栄光のルマン制覇"の手ごたえを感じていた。
ドライバーもF1でも実績のあるクロスノフとアーバインをサルテイサーキットに連れてきた。ところが、トヨタには何か魔物が憑いている。ライバル不在のはずのサーキットに「GT1」クラスからダウアー・ポルシエがエントリーしてきたのだ。
見た目はCカーと遜色ない。新しい「LMP1」カテゴリーと比べるとパワー規制が緩いため、直線ではトヨタより速いくらいだ。耐久で実績のあるポルシエは侮れない存在だ。

dauerporsche96211.94.jpgしかし、レースはトヨタの執念が勝ったのか、ゴールまであと2時間の段階でサード94C−Vがポルシェを抑え首位を快走していた。
残り1時間半、ストレートを過ぎたピットロード出口付近で突如、サード・トヨタ94C−Vがストップした。
まさか、ここでトラブルとは!頭を抱えるトヨタクルー。
シフトリンケージのトラブルだ。ドライバーのクロスノフが手でミッションを入れ、スロー走行でなんとかピットまで戻った。
その間に、ダウアーポルシェ2台に先行されて3位に転落してしまった。
交替したアーバインが鬼神の追い上げでラストラップまで猛追、2位を奪い返すが、そこで午後4時のチエッカーが降られた。
無念の2位。99%掴んでいた栄光がスルリと抜けた、そんな表現しか浮かばない、悔しいルマンだった。

■1994年ル・マン24時間レース決勝(6月19日、20日)上位結果
1位ダルマス/ヘイウッド/バルデイダウアー・ポルシェ962LMGTI優勝
2位アーバイン/マルテイニ/クロスノフサード94CVLMPI
3位ステック/サリバン/ブーツェンダウアー・ポルシェ962LMGTI
4位アンドスカ/フォルチ/ウオーレックトヨタ94CVLMPI
5位ミレン/オコネル/モートンニッサン300ZX ターボIMSA GTS
6位ベル/ドノバン/ラシングクレマー・ポルシェLMPI
7位リッチ/エバンス/オリシークレージ・ポルシェGT1
8位パレジ/ドゥピー/パロウポルシェ911LM GT2
11位バーオン/サルダン/ビラニーノFerrari 348LM GT2
12位アルノック/ベル/バラスクライスラー・バイパーLMGTI
14位ハン/ブーチト/ガショーホンダNSXLM GT2
観客の惜しみない拍手が2位のトヨタに送られた。また、やり直しだ。

第十ニ章 世界のトヨタ、再びル・マンへ

バブルの崩壊もあって、トヨタは98年までルマンへの挑戦を止めてしまった。世界的な不況と、クルマ業界の再編成という本業が忙しかったのがその主因だ。
94年のルマンが違うカタチで終わっていれば、今頃、トヨタは耐久の世界でポルシエと双璧を成す存在になっていたかも知れない。
トヨタが再びルマンに参戦したのは、雪辱のためだけではない。
世界の3本の指に数えられるクルマメーカーとなったことで、旧来の"堅実"なトヨタから"攻める"企業イメージを創造するのが急務となったからだ。
具体的には2001年から参戦を表明したF1グランプリの本拠地、ヨーロッパでの、新しいトヨタを創造するためだ。

ts020toyota.jpg
1台でもロードモデルの公認を得れば「GT」クラスとして参加できるレギュレーションを利用して、ルマンのためのGTカー、トヨタTS020を制作。
エンジンは執念がこもった94年仕様のV8ターボ3.6リッターをこれでもか!の勢いでチューンして、サルテイサーキットにやって来た。
完走狙い、あわよくば優勝などといった過去のトヨタとは180度違う、
ガンガン行く、壊れたら直す。勝つにしても圧倒的な力量を見せつけて勝たなければ意味がない。
デビューレースでありながら"横綱相撲"をとるトヨタTS020はサーキットを縦横無尽に駆け回った。
トラブルで後退してもピットで直して、圧倒的速さで挽回する。
何度となく首位奪還を繰り返し、午後2時の段階で首位。
ここまでは94年と同じだ、一瞬、ルマンの悪夢が蘇るが、まさか2度はない、前とはちがうのだ。
逆にトヨタに女神が微笑む番だ。と観客もTVを見ている日本人も思った。
そのまさかが、30分後、トヨタに襲いかかった。ルマンの女神は本当にいじわるだ。
ミッショントラブルでコースに立ち往生、頼みのピットに戻ることが出来ず、無念のリタイア
。ニッサンに3位をプレゼントした。ヨーロッパでトヨタはそこまで嫌われているのか?

■1998年ル・マン24時間レース決勝(6月6日、7日)上位結果
1位マクニッシュ/アイエロ/オルテリポルシェAGGT1優勝
2位ミューラー/ウォレク/アルツェンポルシェAGGT1
3位星野一義/鈴木亜久里/影山正彦ニッサンGT1
4位オルケ/サーグテン/オーバーレンマクラーレン・BMWGT1
5位ニールセン/ラゴルス/クルムニッサンGT1
6位コマス/ラマース/モンテルミニニッサンGT1
7位ブラバム/ウォレス/デイビーズパノス・フォードGT1
8位テイラー/ヴァン・デ・ポール/ベレスフェラーリPT優勝
9位片山右京/鈴木利男/土屋圭市トヨタGT1
10位黒澤琢弥/本山 哲/影山正美ニッサンGT1
11位ベル/ドナヒュー/ドルディークライスラー・バイパーGT2優勝
第十三章 微笑まない女神が微笑んだ時?

翌99年、20世紀最後のルマンにトヨタはNAの3.5リットル(F1と同じ)エンジンを搭載したGT-ONE(TS020改)3台と共にやってきた。ルマンの歴史にトヨタを刻む為に、最強の布陣をしいた。ライバルは見当たらない。
前年同様、ガンガン行く。ライバルは自分自身だといわんばかりに。
toyotats0200.jpg 予選は圧倒的な力量でポールポジション獲得。もはや、そんな事で喜んでいられないのがトヨタだ。決勝でも他車に付け入るスキを与えず、快調に3台のマシンは周回を重ねる。それでも、深夜から朝になり、2台のトヨタは消えてしまった。アンカー役で、他が消えてしまった時に浮上する役目を背負った日本人組(片山右京/鈴木利男/土屋圭一)は、その通りに午後3時に、BMWに次ぐ2位に浮上してきた。BMWといってもワークスエントリーのトヨタの敵ではない。
元F1の片山右京が、目のさめるようなドライビングで同一周回まで挽回してきた。
テレビ放送が再開してすぐのこのシーンは、「ウキョウもやるな」の声が日本中から沸いた。
このままいけばあと数周でBMWに追い付く。劇的な追い越しシーンが間もなく見られる、と サーキットも日本もドキドキしながら見守っていた。
94年、98年とは全然違うシチュエーションにルマンの女神も手が出せないはずだ。
この時、トヨタがついに自力でルマン制覇を掴んだかにみえた。
トップBMWのその差はあと、20秒。
ユーノデイルの直線を最高速でとばして、待ち構えるシケインに減速、その時、ルマンの悪女がタイヤをバーストさせた。
元F1ドライバーの右京だから大事に至らず済んだが一歩間違えば大クラッシュだ。
なにが女神だ、おまえは死神だ。
なんとかコントロールし、三輪走行でピットまで戻り、交替した鈴木利男が94年のアーバインのように鬼神の追い上げだ!しかし、首位に届かず無念のチエッカーフラッグ。

<文中敬称略で使用させていただきました。>

1999 ル・マン24時間耐久レース 決勝結果 1999 6月12日(土)-6月13日(日)16:00-(現地時間)
Pos. No. Cat. Car Lap
1 マルティニ/ダルマス/ウィンケル 15 LMP BMW V12 LMR 365
2 片山/土屋/鈴木 3 LMGTP TOYOTA GT-ONE 364
3 ビエラ/テエス/ピロ 8 LMP AUDI R8R 360
4 アイエロ/アルボレート/カペロ 7 LMP AUDI R8R 346
5 ボッyサ/アウベリン/ソパー 18 LMP BMW V12 LM 98 345
6 カフィ/モンテ/シャテラ 13 LMP COURAGE C52 NISSAN 342
7 ブラバム/ブランデル/レチンジャ 12 LMP PANOZ LMP-1 336
8 ディディエ/フレドゥリク/マーク 21 LMP NISSAN C52 334
9 ペスカルロ/フェルテ/ガイ 14 LMP COURAGE-PORSCHE C50 327
10 ベレッテ/ベンドリンガ/ダフイ 51 GTS CHRYSLER VIPER GTS-R 325



BACK_ICN.GIF第一章 トヨタ90C-V BACK_ICN.GIF 第三章 苦悩するトヨタ。 BACK_ICN.GIF 第六章 打倒ニッサン NEXT_ICN.GIF 第十四章 トヨタがF1初優勝?

thomTOM, およびtTt_factoryは商標および登録商標です。
E-mail:thom7gashima@yahoo.co.jp © 2005 tTt All rights reserved ™